思えば、その感情はごく小さい頃から兆していた。僕は物心ついたときには既に、「兄さんが一番」で「兄さんが大好き」だった。ずっと一緒にいたい、誰よりも近くにいたい、何もかも共有したい――兄さんの全てを僕のモノにしたい。僕と兄さんは一心同体だった。その無意識の自覚が、母さんを練成しようという共通の誰にも言えない秘密が、世界でたった一つの僕と兄さんだけの秘密が出来たときにカタチになった。
「ねぇ、兄さん」
早い段階で、母さんの魂の情報は僕と兄さんの血液を混ぜることにしようと、古臭い文献の記述を読んで決めた。僕らの魂は混ざり合う。・・・魂だけじゃなくって、全部が混ざり合えば良いと、僕は願っていた。
「なんだ?アル」
「血だけ、とかじゃなくって、もっと、繋がってた方が良いと思うんだ」
「アル?」
精通を迎えたばかりの僕らは、単純な刺激にも容易に反応する。ぐっと近付いて、僕は兄さんの股間にズボン越しに触れた。
「アル! 何すんだよ?!」
「兄さん、僕は不安なんだよ!・・・単に血を混ぜただけで良いのかって」
「?」
「もっと、ちゃんと僕と兄さんが繋がってないと、駄目なんだと思う」
「へ?」
「だから、兄さん・・・」
膨らみ始めたズボンの股をするりと撫で上げて、熱に浮かされたように僕は兄さんに訴えかける。
「兄さんの遺伝情報が入った精子、僕に頂戴?」
「何言ってんだよ!アル!」
「お願い、兄さん。僕、母さんをちゃんと練成できるか不安なの」
「アル・・・」
「ね、お願い・・・」
僕はじりじりと兄さんのズボンのチャックを下ろし始める。母さんのことに託けて、兄さんを手に入れようとする僕はきっと凄い悪い子なんだろう。
それでも、それが兄さんを手に入れる手段だとしたら――僕は躊躇わない。
「お願い・・・」
俯いて声をつまらせた僕に、兄さんは唾を飲み込んで動きを止める。死んだ母さんのことを思い、不安がる僕を思って優しい兄さんはこの行為を受け入れるのだ。兄さんに見えないところで僕が醜く嗤ったことを、兄さんは知らない。
チャックを下ろしてトランクスの前を押し広げると、淡い色をした兄さんのを取り出す。それは既に大きくなっていた。
「アル、本当にやるのか?」
不安げに訊ねてくる兄さんの声に応えることなく、僕はそれを口に銜える。
「アル?!」
びくりと震えた兄さんのが、僕の口をめいっぱい広げる。初めてだからどうすればいいのかよくわからないけど、僕だって気持ちいいと思う裏の筋とか先っぽとかをつんつんと突いて舐めあげる。
「ある・・・っ、やめ・・・!くぅ、っきたな・・・っ!」
「ちゅぷ・・・そんにゃこと、なひよ?・・・じゅぷ・・・にいさ、の、おひし・・・っ」
もう既に充分おっきいのに、兄さんは耐えているのかなかなか射精しなくて、僕は気持ちよくないのかと不安になりながらやわやわと兄さんの睾丸を揉み解す。
「ね・・・、にいさんの、ちょうだい?」
「やめ・・・っくぅ・・・はな、せ!あるっ」
「じゅぷっ・・・ちょ・・・だい?ちゅぷ・・・っね?」
それは、突然だった。
喉の奥に突きつけられるように、どろりとした生臭い味が広がった。思わず咽そうになるのを、僕は必死に耐えた。
これが――にいさんの?
一滴も残さないようにうっとりと、僕はそれを飲み下した。僕は無意識の内に、失禁するように射精していた。
そんな僕を、兄さんはぼんやりと見つめていた。